2022.4.24
八幡浜市民文化活動センター コミカン 忠八ホール
作曲/ピアノ:加藤昌則
【プログラム】
・蛍の光(文部省唱歌)
・花(詩:武島羽衣/曲:滝廉太郎 )
・落葉(詩:千家元麿)
・魔女の住む街
・祈りの街
・詩がある
・俺らの町の数え歌
・桜の背丈を追い越して
・サッちゃんの家(詩:畑中良輔/曲:大中恩)
・彦星哀歌
・レモン哀歌(詩:高村光太郎)
・ぼくの空(詩:たかはしけいすけ)
・空に(詩:たかはしけいすけ)
・あしたのうた
・遠い空の下で
【アンコール】
・上を向いて歩こう
・もしも歌がなかったら
昨年に続いて、今年もまた呼んでもらった八幡浜。本当に有難く、そして光栄なことだ。今回は"SINGER SONGWRITER"加藤昌則歌曲集と題し、加藤さんの曲だけでプログラムを構成した。
そもそも加藤さんが八幡浜を訪れるのが久しぶりで、彼をよく知る人も多い町だから、お客様はそれも楽しみにされているご様子だった。コロナ禍でなかったら、みんなで集まってワイワイやりたいところだったが(かつてどれだけ盛り上がったことか)、実家にも立ち寄らず大人しく過ごした。
このコンサート、去年、主催者の策略!?にまんまとハマり、泣いて泣いて歌えなかったことが昨日のことのように思い出される。今年は何があっても泣くまいと心に誓ってステージに出た。
しかしダメね。知ってる顔がマスクをしていてもわかるし、なにより「おかえり」の文字が刺さる。愛媛に戻ることはあっても、もう何年も実家に帰っていないし「東京から来る」というだけで、まるで菌を持ち込むかのように警戒されて切ない思いをしたこともある。いや、誰が悪いというわけではなく、それは致し方ないことと割り切ってはいたが、そんな状況にやるせなさを感じて過ごしてきただけに「おかえり」は直に刺さるのだ。
私も加藤さんもいつも以上に饒舌だったかもしれんなあ。久しぶりに、心の底から安心して楽しみぬいた本番だった、そんな気がする。
本番の後、一人で中学のある山に登ってみた。山と言っても10分くらいの道のりなのに、足が痛くて息が切れた。年を取ったと思いたくなくて、余計に張り切って早足になったからかもしれん。
正門を背にして見る故郷の景色は、昔と変わらず世界で一番美しく、私の心を支えるものだった。
沈む夕日を確かめながら
悔し涙を流したあの日
私の言葉を生んだ景色がそこに確かに在って、その歌を大切な町で紡いで、大切な人たちから拍手を頂き、私は本当に生かされていた。
ありがとう、故郷。