2024.9.28 銀座王子ホール
【プログラム】
声楽家・訳詞家として
シューマン 「詩人の恋」 Op.48 全曲
(日本語字幕付)
作詞家として
加藤昌則歌曲集I
〈加藤昌則 作曲/宮本益光 作詞〉
あしたのうた
遠い空の下で
俺らの待ちの数え歌
桜の背丈を追い越して
作曲家として
宮本益光歌曲集
〈宮本益光 作曲/R.ヘリック 作詞/森 亮 訳詞〉
賛歌 ー ミューズの神々にー
詩歌こそわがさきへ
作詞家として
加藤昌則歌曲集II
〈加藤昌則 作曲/宮本益光 作詞〉
友のソネット 三題(世界初演)
【アンコール】
・ミューズの子(シューベルト)
・ぼくの空(「花と鳥のエスキス」より)
・もしも歌がなかったら
中学生の頃から大ファンだったTM NETWORK。クラシックに没入すればするほど、ファンを公言することが何だか気恥ずかしくなっていったのは、クラシックの世界にいる者の悪い癖だ。最近はそう思うようになった。
今年、TM NETWORKはデビュー40周年。彼らのYONMARU(ヨンマル…40のこと)と銘打ったライヴに行って、還暦を超えてなお元気な彼らのパフォーマンスに感動した。
私の30周年記念リサイタルをSANMARU(サンマル)としたのは、声楽を学ぶ以前の音楽体験へのオマージュ、そしてイベント好きな私の愉しみ方(私自身のための演出)であった。
プログラムの前半にシューマンの「詩人の恋」を置いたのは、私の研究の中核をなすドイツ歌曲の中でも最も多く取り組んできた作品だから。翻訳者としての側面も出したかったので、字幕も新しく制作した。
後半には、共演者でもある加藤昌則さんの作品を、私の作詞作品だけで組んだ。初期の二人の代表作「あしたのうた」は、私たちを応援してくれていた音楽学者の礒山雅先生に献呈した作品。礒山先生の主催する会でも二人で「詩人の恋」を演奏したことを思い出した。
新作である「友のソネット 三題」は、歌い切れるか自信がなかった。別にカトーさんとのことを書いたつもりじゃないのに、歌っていてそう感じてしまうし、きっとお客さんにもそう聴こえるし、だからと言ってあながち間違いでもないし…とにかく感情がグチャグチャになりそうで。
20代の最初の頃、初めて神奈川県民ホールを借りて演奏会をしたとき、加藤さんが「とうとうここで自作を演奏することになったか」と感慨深そうに言っていて、「君は歌いながら未来を一途に願っていたんだね」なんて歌詞は、その時の匂いまで思い出して何とも言えない気持ちになった。
あのとき「いつか自分たちの曲だけで演奏できたら」なんて夢みたものだけど、30周年でちゃんとそれを達成していることに震える思いがした。他に誰がこんなことできる?そんな誇らしい気持ちのSANMARUでした。
渾身の32ページにわたるプログラムもどうだい。まとめ癖が功を奏した。私のささやかな経験の積み重ねは、力のある人に支えられていたからこそと、改めて実感した次第。
そうそう、この日のために新調したモーニング風コートもさあ。YOSHI FUNABASHIさんのカッコいい衣裳!
満席のお客様、優しい友人たち、信頼できる友たち、そして愛する音楽にただただ感謝。
YONMARU?どうかなー。
【COSTUME】
PART 1.
DINNER JACKET:EMPORIO ARMANI
DRESS SHIRT:EMPORIO ARMANI
BOWTIE:BRIONI
POCKET SQUARE:ETRO
OPERA PUMP:MAGNANNI
PART 2.
MORNING COAT:YOSHI FUNABASHI
DRESS SHIRT:EMPORIO ARMANI
POCKET SQUARE:GIORGIO ARMANI
OPERA PUMP:BRIONI
All photo by ヒダキトモコ